プロジェクト Ｓ
『少年ドラマシリーズ復刻キャンペーン』栄光の記録
| １９９８年１０月、ＮＨＫ少年ドラマシリーズのファンサイトである「少年ドラマ伝説」の掲示板で知り合ったある方から、「絶対にないといわれていた『タイム・トラベラー』の最終回のＶＴＲテープを持っている人が現れた」との驚くべき情報が飛び込んできました。早速そのテープの所有者であるちねさんという方に連絡を取ってみました。ちねさんによると「古い型（統一I型規格）のビデオテープに最終回のみであるが、録画されており、自分では再生不可能なので、ＮＨＫにテープを送り、うまくいけば再生出来るかもしれない。」という、ファンであれば、心臓が止まるようなビッグニュースでした。 その後、ちねさんからの情報で、ＮＨＫが放送博物館に展示保存していた統一I型規格のデッキを使用し、テープの再生に成功し、そのマスターテープをデジタル補正技術を駆使し、画像の修復が成功したことや、ＮＨＫの番組でも近い将来紹介されるかもしれないこと、貴重な作品ゆえ、ＮＨＫの関連会社でビデオ化もしくはＤＶＤ化する可能性もあるとの情報を得て、すぐさま掲示板で知り合った熱心なファンの方数名に連絡を取り、復刻へ向けて我々ができることはないかなど、次第に話が盛り上がってきました。 翌１９９９年２月、お互いに顔も知らない少年ドラマファンの１２名で「少年ドラマシリーズ復刻プロジェクト（ＳＦＰ）」なるネット上の組織が結成されました。メンバー相互の連絡は、当初メールで行われていましたが、メンバーの一人が準備してくれた掲示板を利用ながら、復刻に向けての準備が進められていきました。 １９９９年５月２５日、「少年ドラマシリーズ復刻キャンペーン」と銘打った、ネットでの署名運動および発掘運動が正式にスタートしました。当初、その反響は静かでしたが、次第にマスコミでも注目されるようになり、いくつかの雑誌や新聞等でも紹介されました。また、ご自分のウェッブサイトにリンクしてくださった方や、少年ドラマシリーズを見て育った、同年代の映画監督などからも応援メッセージを頂き、その運動は着実に広がっていきました。 地味なネットでの署名運動にもかかわらず、約２年で復刻署名板には１０００件を上回る署名が集まりました。さらに、このキャンペーンをきっかけにして、「未来からの挑戦」、「明日への追跡」、「その町を消せ！」などの貴重なＶＴＲテープも新たに発掘されました。 そして、ついに２００１年３月２３日、このネットでの署名運動が、発行元のＮＨＫソフトウェア、発売会社のアミューズピクチャーズを突き動かし、復刻第１弾のＤＶＤ「少年ドラマアンソロジーＩ」の発売が実現しました。その後も、「幕末未来人」など、かつてＶＴＲ化されていなかった作品を含め、１２作品、計１５枚の復刻ＤＶＤが発売されました。 同年７月２６日には、復刻ＤＶＤの発売と併せてアスキー出版よりビジュアルブック「少年ドラマシリーズのすべて」が刊行され、その発売を記念して、「少年ドラマ復活祭」が新宿ロフト・プラスワンで開催されました。関係者や当時の出演者のみならず、全国から百人を超すファンが集結し、会場は熱い熱気に包まれました。 最近になって、ＮＨＫもようやくその重い腰をあげ、「少年ドラマシリーズ」に関するサイトを立ち上げ、来年のテレビ放送５０周年記念番組のリクエストを受け付け、資料提供を呼びかけるようになりました。今後も、新たなドラマの発掘やＤＶＤ化が期待されるところです。そして何よりも、「少年ドラマシリーズ」の精神を受け継いだ少年少女向けのドラマが、今後、ＮＨＫをはじめ、民放各局においても制作されていくことを切に希望します。 最後に、「少年ドラマシリーズ復刻キャンペーン」にご協力下さった多くの皆様、復刻にご尽力いただいた関係者の皆様、この場をお借りして、お礼を申し上げます。本当にありがとうございました。 |